市立青梅総合医療センター

消化器・一般外科〈トピックス〉

令和5年4月1日より 日本胃癌学会認定施設(B)に認定されました
  • 胃がん治療は日本胃癌学会認定施設で受けましょう

    当医療センターは令和5年4月1日、日本胃癌学会により(簡単に申しますと)“胃がん治療の得意な病院”と認定されました。今後、胃がん治療は「内視鏡診断・治療、外科手術、病理学的診断、化学療法・免疫療法、放射線治療」に十分な体制が整った、経験・実績のある施設への集約が望ましいとの考えに基づく認定制度です。当医療センターはその胃がん専門施設として認定されました。

    この認定には認定資格AおよびBと2つの区分があり、当医療センターは認定資格Bです。認定資格Aには、大学病院・がんセンターレベルの各科治療担当医のマンパワーや学術的貢献等、より多くの要件があり、当医療センターのような一般病院が取得するには、ややハードルが高いと言えます。しかしながら、胃がん手術および内視鏡治療件数、日本内視鏡外科学会技術認定医の常勤など治療実績については認定資格Aの要件を十分に満たしています。さらに、認定資格A施設でも行われていない「胃がんに対する腹腔内化学療法」を実施するなど、胃がん治療の経験・実績については遜色ないものと自負しております。

    やがてオープンとなる新病院ではロボット(ダヴィンチ)支援下手術を早々に開始予定であり、この西多摩地域の胃がん治療に大きく貢献できるよう一層精進してまいります。

    日本胃癌学会施設認定制度の趣旨(日本胃癌学会ホームページから抜粋)
    (1)背景
    • 近年、医療の急速な進歩により、胃癌診療は、多様化、複雑化している。(例えば、内視鏡治療の適応拡大、ロボット手術などの低侵襲手術の普及、免疫治療などの薬物療法の専門化など。)
    • 胃癌診療は、消化器外科医・内視鏡医・腫瘍内科医・病理医など複数の診療科が関与し診断・治療を進めていくことが求められる。
    • 一方、ピロリ菌感染率の急速な低下により、今後我が国における胃癌罹患率の低下が予想され、胃癌診療レベルを維持するためには、一定の施設集約化が必要と考えられる
    (2)施設認定制度の目的
    • 我が国で多数を占める胃癌患者に安心して胃癌診療を受けることのできる情報を提供する。
    • 多様化、専門化する胃癌診療に対応すべく学会員の知識技術の向上に貢献する。

    • 適切な胃癌診療を提供できる施設を認定することにより、我が国における胃癌診療の維持向上に貢献する。

イメージで辿る胃がん手術いまむかし
  • 外科部長 竹中 芳治

    作曲家ブラームスの親友であったオーストリアの外科医ビルロートが世界初の胃がん手術を成功させたのは1881年のこと。迅速な手術をモットーに胃の4分の3を切除、残る胃と腸とつなぐだけの手術でした。患者さんは43歳女性、術後1か月で無事退院したものの4か月後にがん再発により亡くなりました。

    胃がんの転移

    胃がんの飛び火、高跳びの様式は4通り。

    1. リンパの流れに乗って“リンパ節転移”

    2. 血流に乗って“血行性転移”

    3. 胃の壁に穴を開けて顔を出し隣の臓器へ浸食すると“隣接臓器浸潤”

    4. 胃壁を貫通、お腹の中にパラパラとこぼれて“腹膜播種”

    徹底的に切除するのじゃ

    胃がん手術では、すでにがん細胞に占拠された転移リンパ節の切除が必須です。しかし、手術中肉眼で転移が起こっているリンパ節か否かを判別することはできません。NHKでテレビの本放送が開始された1953年、「転移が起こる可能性のあるリンパ節をくまなく切除せよ」と謳う「胃癌におけるリンパ系統の徹底的郭清」という概念が発表されました。これは日本の胃がん手術、特にリンパ節切除法の基礎となりました。そして、転移の可能性のある部位はすべて切除(上述①②)する、病変が隣接する臓器に浸潤しておればこの臓器(上述③)も切除する、という拡大手術路線(上述①も②も③も④も切除!)を突き進みました。

    ちょっと待て

    が、治療成績は向上せず。やがて、がん細胞は発育増殖の過程で「胃の周辺にがん細胞が住んでいる時期=局所性」と「もはや、がん細胞が全身を巡っている時期=全身性」に分かれることが認識されます。手術は最大の「がん局所の制御手段」であり、局所性の段階では威力を発揮するが、ひとたび全身性となれば無力なのだと。大手術が安全無事に終了しても、無力なのです。近年、標準手術(定められた上述①のみを切除)VS拡大手術、どちらが良いのか?が検討され、「どうも拡大手術はよろしくない」という結果が次々に報告されています。

    小さく切除するのじゃ

    早期がん診断能の向上により、早期胃がんの件数が増えました。手術データの検討から、早期胃がんであれば、進行がんに比べて手術の規模を控えめにした縮小手術でも十分に根治できることもわかってきました。

    そして、当医療センターで行っている胃がん手術

    私たち手術スタッフは、胃がん手術の限界を熟知しているつもりです。①早期胃がんに対する必要にして十分な手術、身体への負担の少ない腹腔鏡下胃切除②これまで早期胃がんのみにしか適応されなかった腹腔鏡下胃手術を進行がんにも応用する③切除した胃の病理診断で判明する最終的な病状・進行度に応じて、手術後に化学療法を施行④がん転移状況を見極め、先に化学療法を施行、病変をおとなしくさせた後に手術を施行⑤がん発見時に手術が全く無力な段階だと判断されても、化学療法を開始、著効して局所性病変の範疇となった場合には、この時点で手術を施行。

    これらを手術治療の柱とし、これまで重ねに重ねた研鑽を武器に、過不足のない安全な手術を心掛け、日進月歩の全身療法(手術以外の治療)と手術の併用に関する正確な知識の吸収に励んでおります。私たちの取り柄は“これだけ”です。

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